就活日記①

 遂にやってきた。碌に個性のない人間が歩1枚分以下の僅かな差異を企業に投げつける一大イベント、就活である。近所の大学に流れ着き、一期一会を大事に(行き当たりばったりとも言う)しながら巧妙に社会から逃れてきたが、観念しなければならぬときが来た。

 就活を全く意識していた訳ではない。6月あたりから俄かに就職活動に手を付ける人が増えてきたようにも感じていた。しかし、ゼミや合計32000字のレポートに追われ、結局殆ど手を付けずに終わった。9月ごろに惰性でエントリーした大手食品企業には当然蹴られ、なんとか薄い意識だけは繋いだまま2月を迎えた。

 

 さて実際に2月を迎えた自分の手駒を分析してみた。

 

 先輩0(ゼミは1期生,唯一知っていた先輩にはブロックされた)

 頼れる同級生0(全員理系の院・浪人・留年のいずれか,同学科の人間は頼れず)

 社会経験0 

 資格0

 画像

 

 

無職しか見えない。

 

 なお、「注意欠陥」「誰かの下に付くタイプでもなく、誰かを従えるタイプでもない」という絶望的な社会不適合要素もつけ足しておく。

 

 それとは別に手元にあるものを分析してみる。いわゆる自己分析という奴である。幸いにもこれについては恵まれている。

 小学校の公文では高校過程まで到達し、中学受験を経験している。中高は将棋に打ち込み、全国出場。大学のゼミは賞を獲得している。

 はっきり言って多くの人が羨む経歴であろうと自負している。多分飛車1枚分くらいの主張はできるだろうか。

 

 というわけで手駒と相談した結果、塾業界一本で絞ることに決めた。溢れ出る個性を遺憾なく発揮できる場であり、あまり干渉されず、経歴とも合致している。

 

 ここまでが2月の出来事である。なお、ベンチャー気質の中学生向け塾に受けに行き、理念に共感できなかった結果落ちたこともつけ足しておく。